発達障碍×アディクション その3

昨日の続きです。

ここからはBe!の誌面上で、医師とBe!編集部らしい質問者との対談という形になりますので、そのまま転記します。

※お話している医師

新泉こころのクリニック院長 朝倉 新氏

児童精神科医。2004年、思春期病棟開設のため埼玉県精神医療センターに赴任。

最初の二年間、医長として依存症病棟にも関わる。

2008年5月に神奈川県茅ヶ崎でクリニック開業。



本文はここから

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ルールがないと混乱 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


特に抽象的な概念が入ってくると理解しにくいです。

希望、とか、積極的に、といった抽象的な言葉ではなく、目に見える具体的なものから理解していきます。

「静かにして」だけでは、行動するのが難しい。

静か、というのがどれぐらいなのか、あいまいですから。


「ここに、0から5までの数字が書いてあるよ。0は口を閉じている。5は大声で叫ぶ。では今から2の声で先生と話をしよう」


たとえばこういう感じに説明をするのです。

具体的に、このときはこうする、という明確なルールがないと、混乱を起こしやすいのです。

これも大人になっても残る傾向です。



―――アディクションの自助グループには、たとえばハイヤーパワーとか抽象的な言葉が多いですね。



そうですね。AAの「今日一日」も、断酒会の「一日断酒」も、言葉の奥に、経験や人生の深みがある。

こういう深みをもった言葉はPDDの人にとって了解しにくく、言葉を文字通りにとる傾向があります。



―――ところで、少し前はAD/HDが世の中の話題になりましたが、最近は「アスペルガー症候群」などPDDの本が次々と出されています。どうしてでしょう?



診察場面では、典型的なAD/HDの子どもを診ることは少なくなりました。大きな理由の一つは学校の対応が進んだからだと思います。

熱心な学校なら、AD/HDへの支援は可能になっています。かなり複雑なケースでなければ、医療が関らなくても大丈夫。

発達障害の子どもが「周囲に合わせる」ために薬を飲むのではなく、周囲が工夫すればすむのです。薬はあくまで最終手段です。

ただし、いわゆる「AD/HDとアスペルガーが一緒になった」ような場合……たとえば「多動があるアスペルガー症候群」といった診断となりますが、この中にはかなりの困難を抱えるケースも出てきます。



―――PDDのほうが難しい?



まだ、周囲の工夫が難しい場合が多いのです。

こだわりが強い、そこから外れるとパニックを起こす、

社会性の問題があるため周囲に理解しにくい反応をする、

いじめにあってしまう、

被害的になる、

自分はダメなんだと自傷行為を繰り返す……

こうなると、一時的に薬を使うことも必要です。


診断によって投薬するのではなくて、たとえば学校の先生にどのぐらいの環境調整ができるか、ということがカギなのです。

まずその点を話し合って、できるところまでやってもらいます。

その上で子ども自身がまだ困っているなら、困る部分に合わせて処方をします。

多動なのか、衝動性なのか、こだわりなのか……

それによって処方が変わります。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ パターンを徐々に崩す ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



―――「大人のアスペルガー症候群」をテーマに職場での対応を書いた本を読みました。

なるほどと思う内容でしたが、ふつうの職場でここまでの対応は無理では……と感じてしまいました。



学校だってずっと工夫を続けるのは無理です。

このときはこういう関わりを、こういうときはこの関わりを、といった決まりごとには、いつか変更が生じます。

むしろそれでいいのです。


PDDの子どもにとっての理想の環境とは、次のようなものです。


十歳ぐらいまではパターンを決めて極力守ります。

たとえば場所・時間・関わる相手と関わり方を、一定のルールで行うのです。

急な変更は避け、変更があるときは事前にきちんと説明します。

その子自身がみんなのスケジュール表を管理し、変更はその子が書きこむ決まりにするなどですね。


十歳を過ぎたら、決まりごとをわざと崩していきます。

そうでないと、そのルール自体が「こだわり」になってしまうからです。

少しでもやり方が変わると「なぜ変えた!」とパニックが起こります。

同じパターンの中で一生やれるのならいいけれど、それはあり得ないので、パターンが崩れることを理解してもらう必要があるのです。


一度にではなく、一つずつ崩していくのがよいですね。

時間・場所・人のうちどれかを変える、次はもう一つ変えてみる、というように。

このようにして、最終的には社会の中で生じる変更についていかれる生き方に……というのが理想です。


PDDの系統立った治療・援助としては、応用行動分析、機能的行動分析、「TEACCH」、デンバー治療モデルなどがあります。日本でもこれらのモデルを取り入れて療育、治療を行っているところがあります。



―――大人になってからPDDとわかった人の場合には……?



やはり、まず最初にパターン化すること、目に見える具体的な形でわかるようにすることが役立つと思います。

周囲の環境調整が必要ということですね。

でもずっとそれを続けるのではなく、自然に崩れていっても、むしろOKだと思います。



~さらに明日に続きます。明日はアディクションと発達障害の関係についての部分です。~

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